浄土真宗では、阿弥陀さまのおはたらきによって、いのちを終える時にお浄土に生まれさせていただき、仏のいのちを授かります。
ですので、いのちを終えた後、お墓の下で眠るのではありません。あらゆる方々が仏法に出遇うためのご縁となり、常に救いのはたらきをさせていただけるのであります。
いのちを終えても、ただお墓の下で眠るだけなら、「救われた」とは僕は思えないです。
阿弥陀さまによってお浄土に生まれさせていただき、人々を導いていくことを楽しませていただける。
こんな素晴らしい境涯は、生きているうちには絶対に感じられないですよね。
お墓の下で眠るのじゃないなら、お墓ってなんで必要なの?
お仏壇は仏さまのご縁に出遇わせていただく場でありました。
実は、お墓も同様に仏さまのご縁に出遇わせていただく場であります。
お仏壇を大切にしても、お墓は彼岸とお盆以外はあまり大切にされない方も多いと聞きます。
しかし、お墓もお仏壇もともに仏さまのご縁に出遇わせていただく場でありますので、「どちらの方が大切!」というのはありません。
しかし、お墓の管理は大変ですよね。
だから、維持の心配もなく、お墓よりは安価な納骨堂をお勧めしているお坊さんが多いのだと思いますよ。
現代では、お墓が減ってきているようです
近頃、お墓の掃除や後継といった管理の問題や、管理費などの経済的な問題から、無縁墓が増えたり、お墓の数そのものが減ってきているようです。
仕事や生活の都合もありますので、それは避けることのできない問題なのかも知れません。しかし、仏縁に遇わせていただく場ですので、お墓が減っていく現実を悲しく感じるところであります。
これまでも、お墓という場は確かに仏さまとのご縁を繋いできました。
お子様やお孫さんと離れて暮らしている門信徒さまが、
「お墓参りだけは必ず帰ってきてくれるんよ〜」
そのように嬉しそうにおっしゃるのを聞くとき、お墓という場は、仏縁だけではなく、家庭生活においても大切な役割を果たしてきたのだと知らされます。
お墓を一緒に掃除して、亡き方を思い出しつつ合掌して、「南無阿弥陀仏」とお念仏をもうさせていただく。
その時間が先祖との関係を大切にし、そして家族がひとつになれる貴重な時間です。
そういう場が減りつつある現代社会だからこそ、そのような時間の大切さを強く感じます。そのような時間を与えてくれるお墓を購入される際に後悔しないよう、ここから注意点を書いていきたく思います。
と言っても、浄土真宗では、お墓の形について明確な決まりがあるわけではありません。
しかし・・・
「こうしたほうがいいですよ、こうするのがオススメですよ」
といったお墓のかたちがありますので、掲載していきます。
お墓を購入して、建てる際の注意点
1、 建てる前に、まずお寺に相談してください
実は、これが一番大切です。
余計な道具を買わされることや、余分なものを造って膨大な金銭を払ってしまうことや、浄土真宗のみ教えにそぐわない文字を刻んでしまう方もいらっしゃいます。そのような問題を事前に防ぐために、まずはお寺へ連絡するようにお願いします。
2、 墓相に惑わされないようにしてください
お墓の向きや位置によって、幸不幸が生じるわけではありません。
向きや位置にこだわって他のお墓と違う方向を向いていたら、かえってお参りし辛くなってしまいます。
他の墓の邪魔にもならず、お墓の向きや位置を自由に設置できる場合、みんなでお参りしやすいように設置することが大切だと思います。
みんなで阿弥陀さまのご縁に出遇いやすいお墓になれば素敵ですね。
3、 墓石のかたちにこだわらなくても大丈夫です
石碑の上に傘状の石を載せたり、足をつけたりしているお墓もありますが、あまりこだわらなくても大丈夫です。気持ちよく合掌できることを第一に考えてください。
ちなみに、最近は石材屋さんも必死なのか、様々なかたちのお墓が出ております。お骨を入れる場所も、レバーで石が動くようになっていたり、誰が盗もうとするのかわかりませんが、鍵がかかるようになっているお墓もあります。
見てみると楽しいと思いますので、貴重な休日のデート場所にいかがでしょうか。笑
4、 石碑の正面には「南無阿弥陀仏」の名号を刻んでください
お墓参りでご先祖や亡き人を偲ぶ上でも、いのちの儚さを感じる上でも、私の拠り所となってくださるのは「南無阿弥陀仏」と私にはたらきかけておられる阿弥陀さまです。
その阿弥陀さまのお心に出遇わせていただくのがお墓ですから、浄土真宗の石碑の正面はやはり「南無阿弥陀仏」の名号でなくてはなりません。
5、 観音像、地蔵像、宝塔は建てなくて大丈夫です
私たち浄土真宗の門信徒にとって、帰依する仏さまは阿弥陀さま一仏です。
そして、石碑の正面の「南無阿弥陀仏」の名号にすべての功徳が具わっておりますから、わざわざ他の仏さまや菩薩さまを建てる必要はありません。
6、 吉日の文字は刻む必要はありません
日の吉凶や建てる時期は問いません。
私は、「なるべく人が集まりやすい日」をお勧めするようにしております。
なるべく多くの親族とともに、亡き方を偲びつつ阿弥陀さまのお心に出遇わせていただきませんか。日の吉凶に捉われるのではなく、お墓という新たな場が与えられたことをみんなでよろこばせていただきましょう。
7、 「霊標」とせず「法名碑」にしてください
浄土真宗では「霊」となって迷うことはありません。
阿弥陀さまのおはたらきによって、いのちを終える時に、お浄土に往生させていただき、仏としてのいのちをいただきます。
今、私たちは仏さまのみ教えを聞かせていただく仏弟子としての生涯を歩んでおりますが、いのちを終えても変わりはありません。仏弟子としての法名を授かり、法名碑に刻んでいただきましょう。
死ぬ準備の話のようになりましたが、お墓を作る時に、亡くなった方のためではなく、私のいのちの儚さを知らせてくれる場として大切にしましょう。