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阿弥陀如来のお誓いのままに信心を賜り救われる身にならせていただく

もくじ

今、多くの高僧方のお示しによって伝わっております

天親菩薩論註解
報土因果顕誓願

天親菩薩の『論』(浄土論)を註解して、報土の因果誓願に顕す。

曇鸞大師は、七高僧の一人であります天親菩薩の『浄土論』を註釈して、お浄土に生まれさせていただく要因も結果も、すべて阿弥陀如来のお誓いによることをあきらかにされました。

浄土真宗における曇鸞大師の主著は『論駐』と言われることが多いですが、これは『浄土論註』『往生論註』という書物の名前を省略したものであります。

七高僧の一人であります「天親菩薩」が示された『浄土論』とは、「他力」のお救いを説かれたものであることを曇鸞大師はあきらかにされました。

また、今回の句によって七高僧の関係があきらかになります。

それは、七高僧それぞれの方が、別々のことを独断で説いた訳ではなく、それぞれの方が先達の七高僧の説いた内容を踏まえて、新しいことを説き示しておられたのですね。

そして、親鸞聖人によって浄土真宗のみ教えはあきらかにされ、今を生きる私たちに伝わってきているのであります。

曇鸞大師によってあきらかにされた一心の信心

阿弥陀如来のみ教えを信仰する身になられた曇鸞大師は、その後、阿弥陀如来のお救いを説かれた経典である浄土三部経、龍樹菩薩によって書かれた『十住毘婆沙論』、天親菩薩の主著である『浄土論』を研究し、やがて、中国浄土教の開祖と呼ばれるようになられました。

曇鸞大師の代表的な著述は『浄土論』の註釈である『往生論註』二巻であります。

この書の上巻は『浄土論』の偈頌を解釈し、下巻ではその長行を解釈されております。

親鸞聖人は、この『往生論註』によって、『浄土論』の中心である「一心」を曇鸞大師によって解釈されたことを注目されております。

『高僧和讃』に、

天親菩薩のみことをも
鸞師ときのべたまはずは
他力広大威徳の
心行いかでかさとらまし

と、『浄土論』のお言葉も、曇鸞大師が『往生論註』で解釈されなければ、『浄土論』に説かれている「一心の信心」も「五念門の行」も、すべて阿弥陀如来より賜ったものであることを理解できなかったことを示されております。

さらに、

論主の一心ととけるをば
曇鸞大師のみことには
煩悩成就のわれらが
他力の信とのべたまふ

と、『浄土論』で説かれた一心こそが、煩悩を抱えた衆生がそのまま救われていく道である他力の信心であることを、曇鸞大師が『往生論註』で示されたことを親鸞聖人は讃えられております。

そのように、天親菩薩の『往生論註』を解釈されたことを讃えられたのが、『天親菩薩論註解』の句であります。

救うというお誓いの通りにお浄土を完成し阿弥陀と名乗られた仏様

報土因果顕誓願」でありますが、「報土因果」とは、報土の因は、お浄土を建立して、どんなに煩悩が盛んで罪業が重くても、必ず救う完全な設計図(願)を立てられたことであり、報土の果は、その企画に寸分ちがわないものとして完成したお浄土のことであります。

それは、お浄土を建てられた法蔵菩薩の原因と結果であると同時に、あらゆるいのちがお浄土に生まれさせていただく因と果でもあります。

ゆえに、「報土因果顕誓願」の一句には、私たちが救われていくことはすべて阿弥陀如来のお誓いによるという感動が込められております。

阿弥陀如来の報土の因果のままが、今、私たちにはたらき続けているという現実をよろこぶ生涯をともに歩ませていただくべきだと思うところであります。

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