「不登校児が教えてくれたもの」って言う本がありました

森下一先生の書かれた「不登校児が教えてくれたもの」という本があります。

この本に出てくる一つのお話を拝読した時に、僕は胸を締め付けられるような想いになりました。

そして、「自分を想ってくれている人がいるんだ!」と知らさられる人生が、生きていく力を与えてくれることに気付くことができました。

不登校児が教えてくれたもの

そのお話の主人公はつよしくんっていう一人の少年です。

つよし君は中学一年の時から不登校になってしまったんです。

そのつよし君はとにかく真面目すぎるくらい真面目だったそうです。

学校に登校できない自分を卑下してしまって、ますます自分を責めてしまうようになっていったそうです。

中学校を卒業して色々なアルバイトをしてみたんですけど、どれも長続きしなかったんです。

でも、そのうちゴーカートに興味を持ってゴーカートコースに通い始めました。

それが縁になってゴーカートのアルバイトを始めたんですけど、趣味のゴーカートのアルバイトも人間関係のトラブルで続けられなかったんです。

それでも働かないと生きていけないので就職しようとしたのですが、その度に失敗してしまうんです。

真面目なつよし君が自分を卑下したり自分を責めてしまう気持ちはどんどん大きくなってしまいます。

やがて、つよし君はこう思ったそうです。

「僕に生きる価値は何もないな・・・」

ある日、つよし君は先生にこう言ったんです。

「ゆうべ、100キロ以上のスピードで堤防にぶつかろうとしてしまったよ」

その後も何度も何度も命を終えようと悩んでいるつよし君を見て、先生は心が痛んだそうです。

「どうやったらつよし君を本当に救えるかわからない。ただ支えることで精一杯」

本の中で「彼の痛ましい姿を見守るばかりの自分の無力さにつらい思いで苛立った」と著されています。

助けられないつらさ

どんなに考えても人を救うことができないつらさを抱えたことがある方も多いのではないでしょうか。

目の前で苦しんでいる人を見てもただ支えるしかできない。

たとえ誰かを支えることができたとしても、人と人は必ず別れがやってくるんです。別れがやってきたら、また相手は支えがなくなってしまうんです。

悲しみ苦しみが完全になくなることはありません。

生きづらさを抱える世の中だなぁって感じます。

何度も何度も命を終えようと悩んでいたつよし君が20歳になった時、先生のところにいって、

「ねえ先生。僕みたいなものを人間扱いしてくれてありがとう。これは僕の記念や」

そう言いながらクマのキーホルダーを差し出してきました。

先生は顔が青ざめたんです。

「間違いなく今度こそ死ぬ」って確信したそうです。

先生はすぐにつよし君の父親に電話をしました。

「お父さん、もうつよし君を支えきることができません。つよし君、自分の命を傷付けます」

その夜、つよし君は家の外の小屋で頭からガソリンを被りました。

そのつよし君の行動を見ていたのがつよし君のお父さんだったんです。

お父さんはつよし君がガソリンを被った瞬間どうしたか?

つよし君をギュって抱きしめたって。抱きしめてこう言いました。

「つよし、このまま火をつけろ」

その言葉を聞いたつよし君は泣きながらライターを落としました。

その時にお父さんも一緒に泣いていたそうです。

その一件があって、つよし君は生き延びました。

つよし君はこの時のことを振り返って、

「自分が死ぬと言った時に、一緒に死んでくれるお父さんがおった。自分が涙を流した時に一緒に涙を流してくれるお父さんがおった。生きる価値なんかないと思っていたけど、お父さんにとって僕はかけがえのない存在だったんだ!僕にも生きる価値があったんだ!」

そう先生に言ったそうです。

共感してくれること

きっと、お父さんはつよし君が苦しんでいる姿を見たときに一緒に苦しかったんでしょうね。

つよし君が自分を責めてしまうとき、もしかしたら一緒に自分のことを責めていたのかも知れない。

そんな、自分が悲しんでいる時に一緒に悲しんでくださり、自分が苦しんでいる時に一緒に苦しんでくださる存在がいることが私たちが生きていくパワーになるんだと知らされました。