釈迦如来楞伽山 為衆告命南天竺 龍樹大士出於世 〜謎多き天才。龍樹菩薩〜

釈迦如来楞伽山
為衆告命南天竺
龍樹大士出於世

釈迦如来、楞伽山にして、衆のために告命したまはく、南天竺(南印度)に龍樹大士世に出でて、

お釈迦さまは、現在のスリランカの山と推察される楞伽山で、大勢の方々にお説教をされました。
その内容は、「南インドに龍樹菩薩があらわれて・・・」

龍樹菩薩があらわれることは、先にお釈迦さまに予言されていたことを示されている句であります。

ここからは、七高僧の一人ひとりの功績を具体的に讃えられます。

一人目はインドの龍樹菩薩であります。

龍樹菩薩

お釈迦さまが楞伽山された説法の中で、大勢の方々に龍樹菩薩の出現を予言されていたことが今回の句のシーンでありました。

『楞伽経』という経典に、そのことを次のように説かれております。

善逝涅槃後未來世當有持於我法者南天竺國中大名徳比丘厥號爲龍樹能破有無宗世間中顯我無上大乘法得初歡喜地往生安樂國

ここで、確かに「南天竺國中大名徳比丘厥號爲龍樹」と、龍樹菩薩がお出ましになられることを説かれておりますが、いかにお釈迦さまが勝れた智慧をもった方であろうと、六百年も後に出現する人名や業績まで予告できるはずがないと考えるのが常識であります。

ですから、現代の感覚からしますと、とても受け入れ難いことであります。

龍樹菩薩が偉大な方であったものですから、龍樹菩薩に箔をつけるために、このような予言をお釈迦さまの言葉として後世の教典作者が書いたのではと解釈するものだと考えてしまいます。

その龍樹菩薩はあらゆる学問に精通しておられた方でありました。

しかし、学問を学んでも欲望がなくなるわけではありません。そのことを顕著に示された次のようなエピソードがあります。

龍樹のエピソード

龍樹は3人の友人と隠身の秘術を習得し、美しい女性を犯すために、しばしば宮廷に入り込みました。百日あまりの間に宮廷の女性はすべて犯され、妊娠する方さえ出てきました。この事態に驚愕した王臣たちは、龍樹たちを処刑するために宮廷中に砂を撒きました。砂に残った足跡によって、3人の友人は切り殺されてしまいました。しかし、王のすぐそばに身を潜めていた龍樹だけは殺されずに逃げることができました。

このように一命をとりとめた龍樹は、愛欲が苦悩を招くことをさとり、出家を決意されたそうです。事実、逃走に成功した龍樹は出家し、小乗の経論をわずか90日で読破し、ヒマラヤ山中の老比丘から大乗仏典を授けられました。

これを学んだ後、インド中を遍歴しつつ、仏教・非仏教の者達と対論しては打ち破っていかれたのですが、龍樹は慢心を起こしてしまい、一学派を創立しようと考えられました。しかし、マハーナーガ(大龍菩薩)が龍樹の慢心を哀れみ、龍樹を海底の龍宮に連れて行き大乗仏典を授けたので、仏教の極意を極められました。

その後、様々な者を教化し、非仏教者を論破されたのですが、ある小乗の仏教者が常に龍樹を憎んでおりました。龍樹は彼に「お前は私が長生きするのはうれしくないだろう」と尋ねると、彼は「そのとおりだ」と答え、龍樹はその後、静かな部屋に閉じこもり、何日たっても出てこないため、弟子が扉を破り部屋に入ると、彼はすでに息絶えていたそうです。

そのような、いのちを終える時まで壮絶な人生を送られた龍樹の功績は、次の句に続いて讃えられております。

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